技術士2次試験建設部門「施工計画、施工設備及び積算」   令和2年度 選択Ⅲ-1 論文例

選択3

1.インフラの維持管理について課題を多面的な観点ともに記述する。

①インフラの効率的な維持管理

超高齢化社会を迎えていくなかで、働き手の人数も減少しつつある。さらに、働き方改革も進められており、労働時間や日数は制限される。一方、高度経済成長期に構築されたインフラは膨大な数があり、それらの予防保全や長寿命化に膨大な労働力が必要となる。限られた人数と時間の中で、維持管理を効率よく進めることで生産性の向上を図らなければならない。

②いかにインフラの集約化を進めるか

 高度経済成長期に拡大した市街地は、人口減少により「ドーナツ化」や「スポンジ化」の状況にある。その結果、ライフラインなどのインフラ設備が広範囲に分散しているため、維持管理に手間や費用がかかる。インフラを集約化することで無駄なストックの維持管理が低減されることにより効果的な維持管理を行うことができる。

③いかに財源の確保を行うか

少子高齢化社会における生産年齢人口の減少や、新型コロナウイルスの経済への影響も相まって、財源確保が困難になる。そのため、新型コロナの拡散防止を行いながら業務を遂行することで、経済活性化財源確保をする必要がある。さらに、高度経済成長期に構築された社会資本ストックは一斉に更新の時期を迎え、それらの予防保全や長寿命化に膨大な資金が必要なため、維持管理の費用確保が困難になる。いかに財源を確保するかが課題となる。

2.最も重要な課題として「維持管理の効率化」

1)解決策

①ストック情報のデータベース化

 膨大な社会資本ストックを個別に管理するのではなく、社会資本ストックの形状や点検・診断および補修履歴等の情報をデータベース化することで、同種構造物のデータを統一的に分析することができ、効率的な維持管理を行うことが可能となる。

②選択と集中

 ストック情報のデータベース化を行うことによって、安全安心や生活の質の向上、生産性の向上といったストックの効果を定量化することができる。ストック効果の「見える化」によって優先順位を設けることが可能となる。優先順位を設けたストックに対して「選択と集中」を実施することにより効率的に維持管理を進めることができる。場合によっては使用中止や破棄廃止を行うインフラ設備が発生する。その際は地元説明が重要となる。選択と集中を行っていくことで、不要なものが廃止されて、必要なものが必要な場所に集まっていく仕組みができるようになる。

③ICT工種の拡大

ICT土工から始まったi―ConstructionのICT工種の拡大を進める。ドローン等のICTの最新機器を使用することで、効率化に繋がるとともに安全な作業を行うことが可能となる

3.解決策に共通して生じうるリスクとその対策

1)新たに生じうるリスク

①品質低下

省力化や情報化の導入が進むと、若手技術者の技術力低下が懸念される。人材不足で技術の伝承も難しくなり、品質低下の可能性もある。

②新技術採用による費用の増加

新技術を採用する際に、機器導入費用が発生する。普及されていない技術は比較的高額であり、工事金額等の増加が考えられる。また、金額が高額である場合に企業努力で採用しにくく普及しない懸念がある。

2)リスクの対策

①品質低下対策

基本的な原理やメカニズムに関しては、一定の教育や資格制度の拡充を行う。さらに、最新技術をマニュアル化することで品質不良を防ぐことが可能となる。

②新技術普及による低下価格化

新技術利用促進型の入札制度を普及させることで、最新技術が普及される。普及していくことで一般化されて低コストになっていくことが期待できる。

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